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    嘘つき

    • 2010.12.19 Sunday
    • 02:45

    愛してるという言葉も
    もうこれで終わりにしようという言葉も


    嘘?


    貴方は嘘の上手な人。

    「もう一回……」
    「どうしよっかな?」
    にこやかな笑顔で
    私の頭を撫でる貴方が好き。
    私よりも幾つも年上なのに
    まるで妹をあやす小学生のような仕草

    しかし電話の着信音で
    我にかえる。
    「もしもし?比奈が熱出したの?じゃあ今から急いで帰るよ」
    私の前で笑っていた小学生はすっかり父の顔に。
    「ごめん、うちの娘が熱出したみたいだから帰るね。また連絡するよ。」
    私の引き止めるための口実なんか届くわけもなく
    足早に部屋を去る貴方。
    「もう一回、愛してるって言ってよ…。」
    取り残された私と
    取り残された言葉は
    行き場もなく泡のように消えていきそうだった。


    前々から
    生徒に人気のある人物だと聞いていた。
    大学教授にしては年齢も
    若い方であるし
    人柄も温厚、面倒見もよく
    ルックスもそれなり。
    本気で狙った女生徒の話も幾つか聞いたことがあったが
    既婚者、しかも子持ちのため、皆、玉砕だった。
    という噂も耳にしていた。

    興味がない、といえば嘘になるかもしれないが
    私は特にこの人物に対してはあまり深い関わりもなく
    いろいろな噂話も
    聞き流す程度であった。


    言っていた通り
    その日の夜に私のもとに連絡がきた。
    「もしもし?今日はごめん。」
    「別に気にしてなんかないよ。」
    「ばか、気にしてんだろ?声が怒ってる。」
    「怒ってなんか…」
    抵抗するだけ無駄な気がした。
    私は、初めて貴方と話をしたときから
    全てを見透かされているような気がしたから。
    それは今も変わらないって分かってるから。
    「優衣、愛してる。」
    「片瀬先生、私もです。」
    「二人で喋ってる時くらい先生は止せよ。」
    「名前で呼んで欲しい?」
    「ああ。もちろん。」
    どうしてこんなに泣きそうになるんだろう。
    貴方は、夫として父として当然の業務をこなし
    私との付き合いなんて
    ただのオマケに過ぎないと、割り切っていたはずなのに。
    どれだけ愛してると言われたって
    結局帰る場所は私のところなんかじゃなくて
    貴方の名前を呼んでいるのは
    私だけじゃないって
    私よりも相応しい人がいるって
    全部全部分かったうえのやりとりだって
    貴方も、感じてるのを知ってるくせに
    どんな言葉も結局は嘘だって身に染みて理解しているのに
    どうしてこんなに辛い?

    「もう、私だけのものになってほしいよ。寿人…。」


    2年半 付き合っていた彼氏と別れたのは
    今日みたいな肌寒い冬の日で
    寿人と初めて話をしたのは
    私としては最悪な状況の時であった。

    真夜中、勝手に大学内に入り込み
    大量のお菓子とお酒を買い込み
    ひとりでやけ酒をしていたのだ。
    一応、人がいないことを確認して侵入したつもりだったが
    ちょうどその日、泊まり込みで研究をしていた寿人が
    物音を感じ取り様子を見に来たのである。

    「君ってさあ、
    未成年…ではなかったよね?」
    「もーハタチにはなってまーーす」
    「女の子の本気のやけ酒ってあんまり可愛くないね」
    「は?」
    「俺もちょっと行き詰まってるから、少しそのお酒もらってもいい?」
    「どーぞ。」
    寿人はただ、何も聞かず
    私の横でしずかにお酒を呑んでいた。
    まるで私が話しはじめるのを
    待ってくれているかのようだった。
    「先生…、私ね…ふられちゃった。結構、長い間付き合ってた彼氏に。」
    「うん」
    「私、駄目な女なんだって。一緒に居たいと思わなくなったって言われたよ…」
    「うん」
    「もう私どうしたらいいのかな…、これから生きていくのが辛いよ…」

    気がつけば私は、
    暖かい腕に包まれていた。
    「下手な慰めよりも
    今はあったかさが欲しいだろ。大丈夫。こうやって熱を帯びて君を抱きしめてくれる人なんてこの世にはごまんと居るんだ。
    だから生きていくのが辛いなんて言うなよ。」
    彼の匂いは、タバコでもなく、香水でもなく
    洗剤と柔軟剤の
    優しい匂いだった。



    「あの日のこと、覚えてるか?」
    「うん。忘れるわけないよ。」
    「あの時さ、初めて結婚したことに後悔したんだ。
    結婚する前に、優衣と出会っていれば…って本気で思った。」
    「なんで?」
    寿人は少しだけ笑って答えた。
    「運命ってやつかな。」
    「また……いい加減な…ことばっかり…」
    「ごめん、優衣。もしかして泣いてる?」
    「……泣いてないっ」
    発した言葉と裏腹に
    声は震え、鼻水をすする音も次第に大きくなっていく。
    「今、どこに居るの?」
    「自分の部屋…。」
    「すぐ行く。待ってろ。」


    5分もしないうちに貴方はやってきた。
    部屋に入るなり
    いつもより私を強く抱きしめて唇を塞いだ。
    このまま時間が止まって欲しいと願った。
    「優衣…。」
    貴方は何度も私の名を呼んだ。
    まるで私が今にも消えてしまうもののように。
    そして掠れた声で言った。
    「もうこれで終わりにしよう。」

    おもわず耳を疑った。
    二人の終焉がこんなにも突然に、こんなにも普通に
    やってくるとは思わなかった。
    「…どうして……?」
    「君が駄目な女だからだ。一緒に居たいって思わなくなったからだよ」
    私の目から涙が零れたのを
    貴方が見逃すはずがなかった。
    「だからまた、夜中の大学内でやけ酒でもして
    ほかの誰かの女になれ。
    もう俺とはお終いだ。
    ほら、あの日、言ったじゃないか。熱を帯びて君を抱きしめてくれる人なんてごまんと居るって」
    「寿人の熱はなくなっちゃったの…?」
    「ああ。もう俺は嫁と子供で手一杯だ。他をあたってくれ。」
    私は泣き崩れた。
    今の私にとって貴方は全てだったのに。




    私は貴方の愛してるという言葉はいつも
    嘘だと思ってた。
    でも、
    これで終わりにしようという言葉は何度考えても
    嘘だと思えなかった。


    でもやっぱり貴方は嘘が上手な人のようでした。
    大学の卒業式が終わった後、
    娘が熱を出したと聞いて家に帰った日
    実はそれは奥さんの口実で
    帰ってくるなり離婚届けを見せられ
    私たちのことは全てばれていたこと、
    そして別れなければ私の元へ慰謝料が請求されるようになっていたことを
    貴方から聞いた。

    「私が駄目な女だって言ったのは嘘?」
    「うん」
    「熱がなくなったって言ったのは嘘?」
    「うん」
    「じゃあ私と出会ったことを運命だって言ったのも嘘?愛してるって言ったのも?一緒に過ごした時間も?全部嘘?」
    しばらく間をあけて
    貴方は静かに頷いた。
    上を向いた貴方の顔は
    小学生でも、夫でも父でもなく
    ひとりの大人の男だった。
    「嘘つき。寿人の嘘つき。」
    貴方は私の前で初めて涙を流していった。
    「そうだよ。俺は嘘つきだから、最後にひとつ嘘つくよ。
    …もう君のことは絶対に好きにならない。」
    貴方は笑った。
    私も笑った。




    ************

    先ほど見てたドラマが
    不倫ものだったので
    感化されて勢いで書いてみました、といったところです。

    「嘘」についてとても
    執着して物語を進めてみました。
    ちょっとしつこすぎる気はしますが…(笑)

    実際に不倫経験などはないので
    感情描写などは大変乏しいと思いますが
    お許しください(>_<)

    結局ふたりはこれからどうなるのかは
    想像にお任せです(^^)
    っていうか私も
    考えていません(笑)

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